世を儚み、地上を捨てた男の深い悲しみ
あらすじ(内容バレなし)
1954年公開の実写作品。ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ制作。127分間。
1868年(日本では大政奉還の翌年)のお話。
海に出た大型船舶が次々に消息不明となる謎の現象が多発し、危ないので船を出せなくなってしまい、アメリカ合衆国はとても困っていた。
海洋生物学者のアロナックスは政府に頼まれ、原因の調査に乗り出す。
調査艦に乗り数か月各所を巡ったものの特に収穫はなく、そろそろ調査を切り上げようかと思っていた時、近くを通った船が突然大爆発。
訝しがるアロナックスと調査艦の乗員たちに、魔の手が忍び寄る…
こんな人に見てほしい!
- 潜水艦に憧れがある人
- 海の冒険物語にワクワクする人
- 少し考えさせられる作品が好きな人
こんな人は避けた方がいいかも…(注意点)
- 海が苦手な人
- 最新のド迫力CG技術の作品しか見たことがない人(物足りなく感じる恐れあり)
- 泣ける作品や、恋愛作品ではない。
印象深いセリフ
And when the world is ready for a new and better life, all this will someday come to pass… in God’s good time.
世界が新しい、より良いものになった時、全てが実現するに違いない。いつの日か、必ず。
by ネモ船長
個人的な一押しポイントと感想(内容バレあり)
- CG技術なしでこの作品を作ったのがそもそもすごすぎる
- ノーチラス号の内装のセンス!!
- 登場人物たちが皆魅力的
非常に冒険心を掻き立てられ、ネモ船長の深い悲しみと静かな狂気に思わずうなってしまう作品でしたね!
そもそも、CG技術なしで海底冒険物を作ったこと自体が相当なことです。
海底での食物採取シーンや、オオイカとの格闘シーンは、今リメイクするならグリーンバックでCG技術をフルに使用することで美しくも大迫力の場面に仕上げるはずです。
勿論それも大変な苦労があるでしょうし、それはそれで見てみたいです。
しかし、CG技術など存在しない本作品は、実際に水の中で撮影し、オオイカは巨大な人形と実際にバトルするわけです。
映像的にCGと比べてショボいと言われればそれまでかも知れませんが、アナログ独特の味というか、妙な説得力がありあまり気になりませんでしたね。
本作のメイン舞台である謎の潜水艦ノーチラス号の内装は、本当に本当に見事でした。
CG技術がなくて見る気がおきない人も、あの内装だけでも見てほしいです!
シックで豪華でありながら遊び心もあって最強です。
個人的にはあのような隠れ家を持つのが夢ですね!
…と、ここまで映像面のことだけを語ってきましたが、この映画の真の見どころは映像のすごさではなく、登場人物の人間模様と心情の機微だと思います。
誠実で思慮深く頭でっかちな学者のアロナックス、忠実で空気もよく読む助手のコンセイユ、短気で陽気な銛打ちのネッド、ノーチラス号の船長で神経質で謎めいた雰囲気のネモ。
潜水艇内で繰り広げられる彼らの対立、駆け引き、和解。それが「むかつくから殺そう」のような極論に飛びつかないのがリアルです。
ネモは、見た目は穏やかで話し方も冷静であり、潜水艇の船員を大切している仲間思いである一方で、船をどんどん沈めて船乗りを大量殺戮するヤバい人でもあります。
その行為が世界を良くするから仕方ない、正義のために仕方がないという、純粋であり非常にたちが悪いやつなのですが、その考えに至るまでにあまりに辛い目にあってきた事を考えると、一方的には責められないよなあと思ってしまいます。
だからと言って殺戮が正当化されることはないですけどね。
ネモの一途さが裏目に出て、かつ止めてくれる人がいなかったのがネモの不幸だと思います。
潜水艇の仲間が一人でも止めてくれれば、違った結末になったかもしれないのに…つら…
まとめ
潜水艇という密閉空間での絶妙な人間模様と、海の中での冒険のワクワクが楽しめる傑作です!
CGじゃないと許せない人と海がNGの人以外は、楽しめるのではないでしょうか!